日本各地の36の店主の思いの場
『糸の泉』に続く素描集『主の糸』は、約3年という時間をかけて、日本各地の古道具屋、ギャラリー、日用品店、食堂、カフェ、本屋、パン屋を旅して36カ所の空間を素描として描き、その場所との繋がりや思いを言葉として綴っています。
しゅんしゅんさんの言葉と線で描かれた場所を眺めていると、頁をめくるごとに行ってみたくなります。ただ、それが店として訪れたいという感覚ではなく、そこを見つめ、その場所と共に生きている人たちに会ってみたいという気持ちがふくらみます。「主の糸と書いて素となる 主の糸から素が生まれる」はじまりの言葉に記されているように、場所を描くだけではなく、その場所を見つめる人や関わる人と、しゅんしゅんさん自身がまっすぐに向き合って描いていることが伝わってくるから、絵や言葉に自然と包み込まれるように感じるのだと思いました。
これから、まだ行ったことのない場所を訪れた際には、「ああ、あの方の、あの場所だ」と懐かしく感じるだろうと思うほど、心に情景が描かれる本です。
- 発行日:
- 2014年10年31日
- 作者/装丁/発行:
- しゅんしゅん
- 仕様:
- 上製本/糸かがり綴じ 80ページ
- サイズ:
- W210_H148_D7mmA5サイズ