素描から伝わる作り手の温もり
2013年で五回目を迎えた銀座・手仕事直売所に参加された作品の素描画が収録されている本です。しゅんしゅんさんの素描の作品を含め、陶芸品、漆器、暮らしの道具、身に纏うもの、日用品など90点の手仕事と、島根、東京、埼玉、岩手、兵庫、広島、愛媛の9つの工房を訪れた際の素描と言葉がおさめられています。モノの絵を描いているのですが、作り手の温もりや眼差しを感じるのはしゅんしゅんさんが真っすぐにそのものを見つめて描いているからだと感じました。この本は眺めていると、そのモノに出会いたいと思い、作りだす手を想像し、あたたかな気持ちにさせてくれます。
しゅんしゅんさんが描く絵は詩のようにも感じられます。線からなる絵に色を想い、人を想い、においを想います。風を感じ、光を感じ、ぬくもりを感じます。場所やそのものを描いているだけではなく、気持ちを通って感じとったものを描きだしているからです。しゅんしゅんさんは単に絵を描く人ではなく「素描家」。しゅんしゅんさんが言う素描とは、素直に、素朴に、素早く描くこと。「素」というのは人や物が持つ最も大切な部分で、ただ一方的に描くのではなく、心と繋がり合って絵を生み出しています。線、絵、繋、素、すべての字に「糸」があり、私たちも、しゅんしゅんさんが紡ぎ描いた糸によって出会えたのだと嬉しく思っています。
- 発行:
- 2013年9月14日
- 絵と文:
- 素描家しゅんしゅん
- 発行者:
- 山崎宏
- 発行所:
- ヤマサキデザインワークス
- 協力:
- 株式会社 松屋
- 印刷:
- 三和印刷株式会社
- 製本:
- 有限会社 美篶堂
- 頁数:
- 64ページ
- サイズ:
- 210×148mm
- その他:
- オフセット印刷+手描きサイン付き