偶然の出会いから見つめ続けたこと。
福岡県でalbus(アルバス)という写真ラボをされている酒井咲帆さんの写真集です。偶然訪れた土地で偶然出会った子どもたちをきっかけとして、毎年その土地に出向き、記した10年の写真と言葉。写真展が開催された、大阪のギャラリーiTohenでは、この本の中の写真や言葉以外に、咲帆さんと彼らとの交流を感じとれる、子供たちからの手紙も展示されていました。出会った人たちがどのように変わっていくのかわからない中で彼らとの関係を、一年、一年繋ぎ積み重ねていたことを思うと、10年を纏めたこの一冊が誰かのもとへ届くことがとても貴重に思えます。
咲帆さんの写真は彼女の眼差しで、心なのだと思います。10年経った今、彼女には使命感すら生まれているようです。それは、会いにいかなければならないという気持ちではなく、会いにいきたいという気持ち。きっと成長した子どもたちを通して、自分自身を見つめているから、毎年会いに行きたくなるのではないかと感じました。彼女の眼差しを通して、これからも伝えてくださることがとても楽しみです。今後30年は撮影を続けたいという思いを持って生まれた本を、ぜひ見て感じていただきたいです。
- 発行日:
- 2013年6月12日 第一刷
- 著者:
- 酒井咲帆
- ページ数:
- 46ページ
- サイズ:
- 197×227×9mm
- 編集・デザイン:
- 新藤敦子
- 翻訳:
- 原田純子 デイビッド・ベヤーズ
- 発行者:
- 塩山高之 酒井咲帆
- 発行所:
- albus株式会社アルバス
- 印刷:
- 三栄印刷株式会社
- 製本:
- 日宝総合製本株式会社
酒井咲帆sakihosakai福岡で「albus」という写真屋を営みながら写真家としての活動を続けている。写真は手段として捉え、人との関係を育んでいくことを目的とし、長い時間をかけて見えてくるものを写し出している。
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