「糸で描く」といえば刺繍の方法が思い浮かぶかもしれませんが、くまざわのりこさんは針を使って縫うのではなく、そのまま糸を置いて描ていきます。見ればみるほど丁寧で、その絵に込めた気持ちが伝わってきます。その手法はくまざわさんのオリジナルで、他の方がされているのは見たことがありません。だから一度見ると次に出会った別の絵であってもすぐに、くまざわさんだとわかります。そんな糸をはりかさねて、オブラートのような布でくるむ手法で作られた作品を、くまざわさんは「絲会(いとえ)」と名付けました。また、糸で描くだけではなく、水彩画であっても、立体の作品であっても、繊細でふんわりと優しく包みこんでくれるような作品ばかり。あたたかい気持ちが伝わってきて、いつまでも観ていたいものばかりです。
絲会の手法で、もう何年も作品の制作やイラストレーションの仕事をされてきましたが、出来上がったものは、額におさめられているか、少し距離を置いて眺めるようなものばかりした。最近になって、もっと身近に絲会の作品を観てもらえるようにと、このブローチを作られました。くまざわさんの作品をブローチとして手で触って、身につけて、出かけられるというのはとても嬉しいこと。ブローチの箱にまでもこだわりや気配りがあって、ひとつひとつのことから伝わるものがあります。ご自身への、または大切な人への贈りものとして、ぜひおすすめしたい絲会のブローチです。
- 箱のサイズ:
- W105_D60_H18
- ブローチ素材:
- 布、糸
くまざわのりこ noriko kumazawa1965年 東京生まれ。1977年 京都に転居。1986年 糸で描くオリジナルの手法で制作をはじめる。日本イラストレーション展銅賞。1987年日本グラフィック展佳作。1997年から2013年 玄光社イラストレーションファイル掲載。2013年 糸をはりかさねたオブラートのような布でくるむオリジナルの手法を「絲絵(いとえ)」と名付ける。作品展 2008年「お庭しごと展」2013年「お茶お楽しみ会」(スペースユイ)他多数。主な仕事、一保堂茶舗「茶の葉 言の葉」茶花イラスト、2014年 カタログ表紙。装画、有吉玉青著「お茶席の冒険」、唯川恵「恋せども 愛せども」。裏具「菓紙」カード6枚セット、など。
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