吹きガラスでできた花器。ぽっこりとした大きなふくらみに小さなくち。名前は「水たまり」。その名をきくと、身近な花を差したくなる。かしこまることなく日々のなかにあって心地好いガラス。花がない時には小さな珊瑚や貝殻を入れても水の中のようで絵になります。
今井美智さんは京都ご出身。2001年から金沢で制作をはじめられます。東京、金沢、石川、京都、台湾と各地で個展を開催。2006年に大阪、星ヶ丘のSEWING TABLE COFFEEで展示を行われた際に美智さんのガラスに出会いました。 吹きガラス、ひとつひとつ型をつくって流し込むガラス、花や植物の形の型に色のガラスを流し込むブローチやオブジェ、グラインダーをつかってガラスに描いたりと、あらゆる方法で器や花器、オブジェなどを制作されています。その中からまずご紹介させていただくのは吹きガラスの器です。ガラスというと繊細なものだと感じるのですが、美智さんのガラスはどっしりとした安心感もあります。手にした人のいろんな想像を受け入れてくれるガラスだとも言えます。ひとつひとつに表情があり、のびのびとおおらかさを感じる器には、初めて出会ったのに懐かしさを感じる、そしてまた会いたくなる美智さんのお人柄があらわれているようにも思います。
- サイズ:
- W123_D87_H49
- 素材:
- ガラス
今井美智michiimai1971年京都生まれ。1996年東京ガラス工芸研究所卒業後EZRAGLASSアシスタントを経て、1997年〜2000年まで(有)能登島ガラス工房勤務。2001年から金沢にて制作。その他個展多数。
ガラスに興味を持ったのは京都の弘法さんや天神さんの骨董市。明治、大正時代の頃の乳白色のアイスクリームカップや古いガラスの器に出会い、こんなものを自分でつくってアイスクリームを食べたいなあという思いから。陶芸ではなく透明なガラスに魅かれ、猪突猛進に頭の中はガラスのことでいっぱい。当時、ガラス学校が関西になかったため、東京のガラスの専門学校へ行きました。気づけば、あれから20年ずっと作業中の熱いガラスのかたまりが流れるように形を変えていく美しさのとりこです。ゆらゆら、たゆたゆ、光や影、風、透きとおった空気。ガラスをとおして身近に感じ、おおらかな心で日々を過ごしています。最近はガラスに出会った時と同じように台湾茶に出会ってしまい、台湾に足繁く通っています。ガラスとはまた違う、自然とつながる大きなエネルギーを感じます。手を動かし、汗を流してものつくる喜び、お茶で自然とつながる幸せ。台湾茶を通じて、これから私のガラスがどんな世界に広がっていくか楽しみです。